作品概要
《白のシンフォニーNo.1-白の少女》は、画家のジェームズ・マクニール・ホイッスラーによって制作された作品。制作年は1862年から1862年で、ワシントン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

様々な白の組み合わせ
全体的に白い色調でまとめられた作品である。白いカーテンを背景に、白いドレスの女性が手にユリを持って狼の毛皮の上に立っている様子が描かれている。縦長のキャンバスを使用しているが、まっすぐに立つ女性と、直線的なドレスのシルエットが縦のラインをさらに強調している。様々な白い色を組み合わせるという試みは、この後《白のシンフォニーNo.2(1864)》《白のシンフォニーNo.3(1865-67)》でも追求されることとなる。
モデルは当時ホイッスラーの恋人だったジョアンナ・ヒファーナンである。彼女は挑戦的とも取れるまなざしでこちらをまっすぐ見つめている。作者のホイッスラーは後に実験的な抽象的風景画に取り組むようになるが、この作品ではそれらの抽象的な作品とは違った彼の観察眼を見ることができる。
この作品は1862年にロンドンのロイヤル・アカデミー(王立芸術院)とパリのサロンに落選し、翌年パリの落選展で展示された。なお、この1863年の落選展はマネの《草上の昼食》がスキャンダルを起こしたことでも知られているが、当時はホイッスラーの作品の方が注目されていたという。
抽象的なタイトル
この作品は、元々は《白の少女》と呼ばれていたが、ホイッスラーは後に《白のシンフォニー》と呼ぶようになった。この抽象的なタイトルは、彼が信条とした「芸術のための芸術」という考え方に基づくものである。彼はキャンバスの上に描かれたもの以上の意味を絵画に持たせることを嫌い、主題についての具体的な情報よりも、色彩の調和や全体的な雰囲気を重視した。また、シンフォニーやノクターンといった音楽用語を好んで作品のタイトルに用いた。
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