作品概要
《嵐の中の船》は、画家のアンリ・ルソーによって制作された作品。制作年は1899?年から1899?年で、オランジュリー美術館に所蔵されている。

《嵐の中の船》は、フランスの画家アンリ・ルソーによって1899年頃に制作された油彩画である。オランジュリー美術館に所蔵されている。
独学の画家
アンリ・ルソーは、パリの税関職員を退職後、49歳で専業画家になった。彼の有名なニックネーム「ル・ドゥアニエ(le Douanier)」は、税関の職員であったことが由来となっている。ウィリアム・アドルフ・ブーグローや、ジャン・レオン・ジェロームなどの画家を賞賛していたが、独学で絵を学んだルソーは典型的なナイーブな画家となった。
彼の素人的な技法と珍しい作品の数々は当時の批評家に嘲笑されたが、パブロ・ピカソやワシリー・カンディンスキーのような現代的な画家は、ルソー作品を「シンプルさの新しい可能性」と称して賞賛した。
図像解説
嵐の中を進む船が描かれている。ルソーの作品に珍しいこの主題は、1889年のパリ万国博覧会のパノラマ館に触発されたものかもしれない。
本作に描かれている船は、異なるモデルの混合物のようである。客船のような小窓を持つ一方で、軍艦のような水切りがある。この組み合わせは、当時のおもちゃのボートでも見られたものである。ルソーはこれらを念頭に置いていたかもしれないし、広告からインスピレーションを得た可能性もある。
不規則な間隔の煙突は、1896年に進水した巡洋艦ダントルカストーのものに似ている。いずれにせよ、ルソーは民俗芸術からインスピレーションを受けていた。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。