作品概要
《ポルト・ド・ヴァンヴから見た市壁》は、画家のアンリ・ルソーによって制作された作品。制作年は1909年から1909年で、エルミタージュ美術館に所蔵されている。

《ポルト・ド・ヴァンヴから見た市壁》は、フランスの画家アンリ・ルソーによって1909年に制作された油彩画である。エルミタージュ美術館に所蔵されている。
遅咲きの「日曜画家」
アンリ・ルソーは芸術のために税関職員の仕事を辞めた年配のアマチュア画家であった。モンマルトルにアトリエを構えていた彼は、無審査のアンデパンダン展に作品を出展していたが、成功した画家とは言えなかった。
ルソーは、40代に真剣に絵を描き始めた「日曜画家」であり、その独学による作品たちは批評家たちの嘲笑の的であった。「ナイーブ」や「シンプル」といった嘲りの形容詞を浴びてしまうスタイルを持っていたルソーは、芸術史の外に追いやられてしまった。
前衛派の先駆け
それにもかかわらず、彼の一度見たら忘れることのできない作品は、文学者や芸術家のグループの注目を集めた。マティス、アンドレ・ドラン、ピカソなどの20世紀初頭の画家たちは、遠近法、明暗法、感動的な主題、甘美な魅力などのそれまでの慣習を放棄したルソーの自然な方法に感銘を受けた。他にもマックス・ベックマン、ワシリー・カンディンスキー、フェルナン・レジェなどの画家に大きな影響を与えた。
図像解説
本作に描かれているヴァンヴ門はかつてパリを囲んでいた市壁の門の一つであり、入市税関の置かれた場所でもあった。ルソーは税関職員だった際、ここに勤務しており、パリ市内に入る物品に関する税の徴収をしていた。
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