作品概要
《トラとバッファローの戦い》は、画家のアンリ・ルソーによって制作された作品。制作年は1908年から1908年で、クリーブランド美術館に所蔵されている。

独学の画家
アンリ・ルソーは、パリの税関職員を退職後、49歳で専業画家になった。彼の有名なニックネーム「ル・ドゥアニエ(le Douanier)」は、税関の職員であったことが由来となっている。ウィリアム・アドルフ・ブーグローや、ジャン・レオン・ジェロームなどの画家を賞賛していたが、独学で絵を学んだルソーは典型的なナイーブな画家となった。
彼の素人的な技法と珍しい作品の数々は当時の批評家に嘲笑されたが、パブロ・ピカソやワシリー・カンディンスキーのような現代的な画家は、ルソー作品を「シンプルさの新しい可能性」と称して賞賛した。ルソーの最も有名な作品群は、パリの植物園や動物園へ頻繁に足を運んだことによってインスピレーションを受けた、青々としたジャングルを描いたものである。
図像解説
植物の正確さはほとんど重要ではない(本作ではバナナが逆さまになっている)幻想的なジャングルの中、ルソーはバッファローを攻撃するトラの想像上の場面を描いた。ここで、はっきりと輪郭を描かれた温室は驚くべき大きさに拡大されている。
ルソーは1907年12月、詐欺のために投獄されていた間にこの絵画に取り組んだ。画家の描いた最大かつ最も重要な作品の一つである本作を仕上げるため、当局はルソーの早期釈放を許した。そして本作は、1908年3月のアンデパンダン展に出展された。
ルソーの独創性と想像力の愚直な純粋さは、パブロ・ピカソや他のアヴァンギャルドな芸術家たちにより賞賛された。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。