チボリから見るカンパーニャの風景

《チボリから見るカンパーニャの風景》はフランスのバロック・フランス古典主義の画家であるクロード・ロラン（またの名、クロード・ジュレ）が1645年、イタリアにて作成した油彩画作品である。

この作品は現在イギリス王室の所有品であり、王室が所有する美術品を展示するロイヤル・コレクションにて所蔵され、バッキンガム宮殿にて展示されている。

スタイルについて

《チボリから見るカンパーニャの風景》はロランの他の多くの作品と違い、神話や田園生活を主題としていない。この絵には、ローマ周辺の田園地帯であるカンパーニャの美しい風景のみが描かれている。

また、この作品はカンパーニャの地形組成を詳しく描いている。ロランはこの作品以降、地形組成をこれほど丁寧に描いたことはない。もし、今チボリを訪問し、この絵が描かれたチボリの街上にあるヴェンツィア・ヴァッロ通り沿いのサイトで町並みを眺望することがあったら、この絵に描かれた風景がそのまま目の前に広がるだろう。

しかし、ロランは目の前の風景をそのまま記録したのではなく、微妙に視野を操作している。例えば、サン・ピエトロ大聖堂の象徴的なドームは元々もっと遠いところの左側に見えていた。それと似たように、本来この角度から見えていたチボリのウェスタ神殿は無視されている。

作品の歴史について

ロランはミシェル・パサートという名のパトロンから依頼を受け、《チボリから見るカンパーニャの風景》を作成した。ロランにとってカンパーニャの風景は特別な題材であるが、彼が活躍していた頃、ローマ・カンパーニャを尋ねることは芸術家の間でもポピュラーであった。ローマ・カンパーニャの風景は魅力的な中世の古代遺跡で満ちたれており、芸術家にとってはとても魅力的である。

この作品がイギリスへとたどり着く経歴としては、イタリアの風景画を多く所有していた、プリンス・オブ・ウェールズでのフレドリックが作品をとある人物から買い取ったのではないかと推測されている。