アポロとミューズたち

《アポロとミューズたち》はフランスのバロック・フランス古典主義の画家であるクロード・ロラン（またの名、クロード・ジュレ）が1674年、イタリアにて作成した版画作品である。ロランが何故この絵を作成したのに関しては記録が存在しておらず、誰の援助で描いたのも学者たちは知らない。

現在、この作品はアメリカのロサンゼルスにあるJ・ポール・ゲティ美術館にて所蔵されている。

スタイルについて

《アポロとミューズたち》はタイトル通りローマ神話に登場する太陽神アポロと、芸術の女神であるミューズたちを主題に創作された絵である。作品の右半分に描かれている腕にリアーを乗せた人物はアポロであり、彼の回りにいる9人の女神たちがミューズである。また、ロランは各ミューズの隣に説明を記録し、それぞれを区別している。

この作品の中央部分には流れるカステリアの泉が描かれており、アポロとミューズ達は泉を囲みながら座っている。インスピレーションと学習の源泉として古くから知られていたカステリアの泉は、パルナッサス山の美を熟考しながら音楽を創作するのに適した場所である。

作風について

この作品の構図は建築にて使われるフリーズに似ており、作品は前景の平面に沿って慎重にバランスを計算されている。これは、ロランと同時期の画家であり、同じくバロック式を追求するニコラス・プッサンの影響を反映している。

実際に、この作品はロランの他の作品と違い、人物たちが図面の大半のスペースを占拠し、ロランが最も得意とする繊細なる風景はあまり描かれていない。また、ミューズ達の隣に描かれている説明文達もロランの作品では稀にしか見当たらなく、貴重なものである。