作品概要
《サン・マルタン門》は、画家のモーリス・ユトリロによって制作された作品。制作年は1909年から1909年で、テート・ギャラリーに所蔵されている。

《サン・マルタン門》は、フランスの画家モーリス・ユトリロによって1909年に制作された油彩画である。テート・ギャラリーに所蔵されている。
作風の変遷
ユトリロはすでに戸外での制作から離れ、パリの風景の絵葉書を元にして絵画制作をしていた。この作品は「モンマニーの時代」から「白の時代」への移行を示している。まだ暗い色が画面全体を占めてはいるが、門の両サイドの家や遠くの空などに白への関心が現われているのがわかる。漆喰の家は、ユトリロを「白の時代」へと駆り立てた。
印象派との比較
ユトリロは、この作品に、赤と緑という鮮やかな色のアクセントを加えた。レンガとアーチ道には散らされた明るい点が見えるが、光そのものは印象派画家とは対照的に、ユトリロの描く対象には含まれていなかった。しかしユトリロの初期の油彩画は確かに印象主義的である。
描写など
ユトリロの関心を長期間にわたって得たものは、彼の主な主題となった無数の道や通りである。この作品では、遥か遠くまで広がる道には黒い馬車が点在し、道路の両側は地平線の一点に収束する。
本作は、ユトリロが初めて人物を描いた作品だとする見解が存在する。といっても、人物は素描でありほとんど輪郭が描かれていない。人々はユトリロの作品の中で主役になることは決してなかったが、これ以降はエキストラとして登場するようになる。ここで絶対的な主役であるのは門そのものであり、背景にいる人物は非常に小さい。
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