作品概要
《室内、画家の母親と姉》は、画家のエドゥアール・ヴュイヤールによって制作された作品。制作年は1893年から1893年で、ニューヨーク近代美術館に所蔵されている。

《室内、画家の母親と姉》は、19世紀から20世紀のフランスの画家でナビ派のひとりにかぞえられるエドゥアール・ヴュイヤールによって1893年に制作された油彩画である。本作には、人物の内面や感情が表現豊かに表れている。
浮世絵の影響
本作は、画家の母親と姉のマリーを描いている。ふたりの姿は背景に溶けこむように調和している。ドレスの柄と背景を同様にすることで、マリーは周囲に融合している。そうすることで、画家は姉の動作に鑑賞者の目が向くように仕向けている。はっきりとしたパターンとパターンが衝突してしまうのを避けるために、壁から身を乗りだしている姉の抑制されたポーズは日本の浮世絵版画に起因しているようにも見える。
部屋は、幾何学的な配列によって心理的な狭さを感じる。ヴュイヤールは人物や空間のバランスの問題にも果敢に取り組み、ぎこちない空間での相利共生を生みだしている。
ふたりの女性の相反する感情
また、心理的不安も描きこまれ、相反する2人の人間の感情を示唆している。この空間は母親であるマダム・ヴュイヤールによって支配され、マリーはそれを重苦しく感じている。
場所はごく普通の家庭の食堂だが、女性が仕事場にやってくるときの心理を比喩的に表現しているともいえる。(画家の母親は裁縫工房を経営していた)その場を管理しているマダム・ヴュイヤールにとっては居心地がよく、マリーのような若い世代にとっては監禁されているようなものだった。
《室内、画家の母親と姉》は本来の意味からいえば肖像画とは言えない。マリーの顔つきやポーズは、操り人形のようだ。鼻はわずかに上向きで、目はフェルトで縫いつけられたように黒い点のように見える。ややユーモラスでもあるが、同時にパトス(哀感)も引き出されている。対して、母親は仮面をつけているような顔をしている。しっかりした体格がうかがえる黒い姿でどっしりと床に足をつけている。
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