作品概要
《ニンファエウム》は、画家のウィリアム・アドルフ・ブグローによって制作された作品。制作年は1878年から1878年で、ハギン美術館に所蔵されている。

ヌード画の評判
1920年代にシカゴ・イブニング・ポストの記事で書かれた内容によると、アメリカでのブグローの評判はヌード画により築かれたとある。評論家たちは彼の描くヌードが性的か上品かということについて、あれこれ議論をしていたかもしれないが、明らかに大衆は彼の作品を好んでいた。
《ニンファエウム》は1878年、パリで開催された国際博覧会に展示するために制作された。13人も描かれているという複雑な構成は、ブグローの卓越した技術、絵画の巨匠であることの証明であった。他にも宗教画、寓話的な作品、肖像画など全部で12作品を一緒に展示し、その多才ぶりに栄誉のメダルを授与された。
題材
画題となっている全裸のニンフたちが13人、秘密の森ではしゃいでいる。ありえないほど滑らかな肌、素晴らしく均整の取れた体つき、流れるような動きは、ティツィアーノやプッサンによる古典的な彫刻や絵画に似たものを感じさせる。
作者にとってニンフたちはありえない願望の象徴であり、達することのできない理想であった。それでも、現実の世界にあればと探している形でもある。だからブグローの描く女性はある観点から見ればクローンのようであるのかもしれない。
描画技術と色使い
《ニンファエウム》での筆使いは裸体を優しくなでるかのようで、輪郭をなぞり、緻密な造形を通じて質量感を出している。この画はブグローの豊富な名人芸を見せる。手足を描く技術は広く認識されており、この画がその証明となっている。複雑な構成でも決して上手くこじつけることもなく、様々な姿勢を取らせる。
光の配置についても突出した技術を見せる。人物は陰によって浮き出ることも、沈み込むこともあり、多様さと深みを持たせる。ブランコに乗る手前側のニンフの腕や背中の輪郭が波打つ様は、グロットの深い影に対して強烈に目立つが、くっきりしすぎてはいない。一方、一緒に乗るもう一人のニンフは繊細に中間色を使って描かれている。そして、左側で伸びをするニンフの長い髪は縁の部分に後光が差すかのように光っている。
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