作品概要

天使の歌》は、画家のウィリアム・アドルフ・ブグローによって制作された作品。制作年は1884年から1884年で、フォレスト・ローン美術館に所蔵されている。

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《天使の歌》は新古典主義の要素を写実主義による優美な造形と組み合わせ、素晴らしい存在感が溢れる作品である。

アメリカでの評価

穏やかな天使たちがバイオリンやリュートを奏で、優美な若きマリアの腕に抱かれて眠るキリストにセレナーデを歌っている。この画はアメリカにあるブグローの作品でも特に重要視されている。この画を特徴づけるのは、聖書や神話といったテーマと戯れるブグローの技術にあり、それゆえに作者はフランスアカデミーの中で華々しい地位を維持していた。

完璧な技術、優雅な構成、強く心に訴えかける肖像画で、ブグローは1800年代の非常に有名なフランス人画家であった。アメリカ人コレクターの中でもファンが多く、アメリカに直接渡った作品も数多くある。本作も同様で、1881年のサロン・ド・パリでの公開後、すぐにアメリカへとやってきた。

神秘的な現実感

1940年までに《天使の歌》はロサンゼルスに辿り着き、イートン博士が所有者となり、フォレスト・ローン教会にある私用チャペルに美しく飾られた。現在はフォレスト・ローン美術館の所蔵となっており、チャペルに飾られていた時と同じ礼拝用の額縁に入れられている。

この画は純粋な詩のようで、母と子が森の中で穏やかに眠っている。その周りを3人の天使楽隊が取り囲み、子守歌の甘いメロディが流れる。肌の色や巧みな白のグラデーションを描写する作者の超人的な技術により、見事な情景が作られている。リアルに感じさせながらも、描かれているシーンは神秘的で非現実的だ。

モデルとメッセージ

天使たちはブグローの妻ネリーにとても似ている。実際、彼は母親や聖母マリアを描く時、よく妻をモデルにしていた。悲しいことに本作が完成する4年前に妻はこの世を去り、その直後に9ヶ月の息子も亡くしてしまう。

静かで感傷的な天使たちが、眠る母親と子供にセレナーデを歌うという情景は、もしかしたら愛する人への追悼だったのかもしれない。天と地を象徴する優しくも美しい絵画は、飾られているフォレスト・ローン墓地のテーマ、平和で永遠なる命とまさに一致している。

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基本情報・編集情報

  • 画家ウィリアム・アドルフ・ブグロー
  • 作品名天使の歌
  • 英語名未記載
  • 分類絵画
  • 制作年1884年 - 1884年
  • 製作国フランス
  • 所蔵フォレスト・ローン美術館 (アメリカ)
  • 種類油絵
  • 高さ213.4cm
  • 横幅152.4cm
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