作品概要
《聖母と天使》は、画家のウィリアム・アドルフ・ブグローによって制作された作品。制作年は1900年から1900年で、パリ市立美術館に所蔵されている。

《聖母と天使》はブグローの作品の中でも最も聖像的な画の一つである。卓越した描画技術が特に光る作品で、非常に複雑な描画で多くの人物が描かれており、この画に存在感と強い印象を与えている。
題材と構成
中央の女性はイエス・キリストの母、聖母マリアである。自分の赤ん坊を抱いて玉座に座っているところを天使たちが周りを取り囲み、赤ん坊を褒め称え、賛美している。作者はこの画にさらに意味を持たせるため、暖色と寒色の両方を使用している。
ブグローは天使の一人一人に可愛らしい所作を与え、細かい描写を施した上で、画の中央に位置する聖母マリアとその子供に一番注目が集まるように構成をまとめている。結果として、時を経てもなお愛され続ける、息の長い作品となった。
人間と天使の描写
天使たちは金色で飾られた白いガウンを着ており、神聖さと清廉さの象徴となっている。対照的に、聖母は金の飾りがついた黒いガウンを着ており、天使よりも低いレベルにいることを表している。同様に、天使たちに羽があるのは人間よりも超自然的な力があることを意味し、聖母に羽がないのは普通の人間であるという表現だ。
しかし、天使たちが全員立つか、ひざまずくかをしているのは、聖母と赤ん坊への忠誠心の表れである。聖母の天恵、そして慈愛の中にある権威を表現するために金で装飾された玉座に座っており、二人の王国での地位を示している。彼女の頭の周りに描かれた星の王冠はその権威が天から来ていることを表現するために必要な要素だ。
画に込められたメッセージ
金の容器を使ってお香を焚く天使の姿は、赤ん坊が実際は王様で、天使や人間の上に立つ神であることを象徴している。玉座と天使たちの下に敷いてある純白の素材は、これが神聖な出来事で、不純なものなど何一つないことを表す。聖母と赤ん坊がいかに神聖で祝福された存在かというブグローのメッセージが直接的に伝わってくる。
神の子であっても、人間と同じ形をしているということを示すために赤ん坊は裸で描かれており、彼の存在とメッセージを望んでいる人々に届くよう両手を広げて掲げ、右手でピースサインをしている。そのような描写から、ブグローはこの画に明確な意図を持っており、見る人に直接語りかけるかのようにまとめ上げていることがわかる。
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