作品概要
《ビキニの3つのスフィンクス》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1947年から1947年で、諸橋美術館に所蔵されている。

戦後まもない1946年から48年にかけてアメリカ合衆国によって実施されたビキニ島での核実験に影響を受けて描いた作品である。当実験において、実践現地となったミクロネシア地方とその近くを渡っていた日本の漁船が多大なる被害を受け、ダリを含め当時の人々が受けた衝撃は計り知れないものであった。
シュールリアリズムの画家として、ダリは写実的に主題を描き取るだけではなかった。また、作者の内面の心理的事象を表現するとう様式を更に越え、主題に対しての潜在意識を象徴的なイメージを組み合わせて作品上で示唆しようとした。
画面は手前の人間の頭一つ、真ん中の木一本、奥のマッシュルーム、つまり原子雲一つの三つの物体で構成されており、頭は人間性、木は自然、マッシュルームは破壊を表現している。木が原子雲であるマッシュルームを示す物体に人間の頭より近くに配置されていることから、自然の方が人類より核爆発から受ける影響が大きいというメッセージを伝えているとも言われている。
また、三つの物体はどれも似たような形をしていて色さえ同じなら分け隔てをすることが困難であろうことから、自然、人類、核による破壊の複雑な関係も表現されているとの見方もある。現在、諸橋近代美術館所蔵。
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