作品概要
《勝利の女神》は、画家のルネ・ラリックによって制作された作品。制作年は1925?年から1925?年で、ヴィクトリア&アルバート博物館ほかに所蔵されている。

車の装飾
女性の頭部を象ったガラス製のカーマスコットである。20世紀初頭に自動車の大量生産が可能となり、車を所有する人々が増え始めた。当時、車の先端部分にはラジエーターのキャップがついており、それを装飾するものとしてカーマスコットが生まれた。カーマスコットは1920年代ごろから人気となり、この作品をはじめ様々なものが作られた。
1920年から1930年にかけて、ラリックはカーマスコットを精力的に製作している。その中でもこの《勝利の女神》は特に有名である。口を開き髪を風になびかせた勝利の女神はスピード感と優雅さを持ち合わせており、当時の時代精神を見事にとらえている。
アール・デコを代表する作家
ルネ・ラリックは、1910年代半ばから1930年代にかけてのアール・デコ時代を代表するガラス作家だった。彼が本格的にガラス工芸品の製作を始めるのは第一次世界大戦後である。それまではジュエリー製作が中心で、香水瓶をデザインしたり、ジュエリーに部分的にガラスを用いたりするのみであった。1918年にパリ東部のガラス工場を買い取ると、ラリックは芸術性と実用性を兼ね備えたガラス製品の製作に乗り出した。
ラリックはカーマスコットの他に、ガラスの彫像や花器、ボウル、ランプなど様々なガラス製品を制作した。ガラス工芸家としての頂点が1925年の現代産業装飾芸術国際博覧会(パリ万博)である。ラリック専用のパビリオンが作られ、彼は自身のガラス作品を使ってダイニングルームをデザインし、さらには会場の噴水もガラスで製作した。
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