作品概要
《母国》は、画家のウィリアム・アドルフ・ブグローによって制作された作品。制作年は1883年から1883年で、個人に所蔵されている。

作品のテーマ
《母国》は愛国心の強さが感じられる代表作と言える。原題の《Alma Parens》は「子供を育てる母親」という意味のラテン語だ。しかし、もっと一般的には「国歌」を意味する言葉として知られていた。
この画で描かれている女性は「母なるフランス」の象徴で、その女性が自分の子供たちを育てている。彼女の表情は決意に満ちており、自分の主義を決して曲げない不動の態度を見せている。
フランスの要素
美しく無表情な若い女性の姿は近代性の象徴となっている。彼女が着けている麦穂のリースは色鮮やかな花で飾られているが、フランス国旗の3色が使われている。青いヤグルマギク、白いデイジー、赤いヒナギクだ。
足元に散らばっているのは小麦とぶどうのツルで、フランス農業のシンボルとして描かれている。反対側に転がるリンゴは秋を象徴し、果物と収穫の季節を意味している。
母親の周りを取り囲む9人の子供たちは貧しそうで、必死に彼女の助けを求めている。1人の子供が近くでじっくりと母親の目を見ているが、少し不安気な目線をしている。母親は義務を果たすことができるのだろうか?とでも言いたそうだ。しかし、まるで未来は険しいとでも表すかのように、背景はどんよりとした雨雲に覆われている。
絵画の所有歴
一時的に俳優のシルヴェスター・スタローン氏が所有していたことでも知られており、1998年のオークションにて264万米ドルで落札された時に世界最高額を更新した。その1年半後、チャリティーのために売却し、360万米ドルの高値でさらに記録を更新した。現在も個人所蔵の作品である。
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