作品概要
《愛の秘密》は、画家のウィリアム・アドルフ・ブグローによって制作された作品。制作年は1896年から1896年で、個人に所蔵されている。

1894年から1896年にかけて、ブグローは特に数多く作品を生み出した。
作品のテーマ
《愛の秘密》は古典文学の詩人が書いた作品の視覚的翻訳とでも言えるような、ファンタジー作品となっている。当時の美術史家、マリウス・ヴァションはブグローにインタビューし、彼は常に古代ギリシャやローマからインスピレーションの種を探していたとレポートに記していた。古典は「永遠」というテーマに対して尽きることなく題材を与え、ブグローは熱心にそれをキャンバス上で表現し続けた。
彼は作品の中で「可愛い、上品、繊細」を全て兼ね備えた構成にまとめ上げ、形の美しさと色のハーモニーを究極まで突き詰めることを目標としていた。ブグローによる絵画の夢の世界は年々発展していき、1890年代には頂点まで上り詰めた。
《愛の秘密》では美しい女の子が噴水に寄りかかっている様子が描かれている。女の子は深い瞑想状態に入っているようで、翼を持った姿で現れた「愛」の化身がアドバイスを耳元でささやいている。彼女は愛の運命にとらわれてしまったのだ。
作品のモデル
そしてこの作品に取り組んでいる最中に、ブグローは同じような作品も並行して描いていた。《夢想》という作品では天使こそいないが、女の子のポーズは若干違うだけ、服装はほとんど同じだ。このように並行して似た絵を描くというのは、ブグローとしては非常に珍しいケースだ。
この絵のモデルはオディール・シャルパンティエというパリ在住の若い女性で、おそらくブグローのお気に入りだったと思われる。1896年に制作された他2点の絵画、《波》と《瞑想》でも彼女がモデルとなって描かれている。
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