作品概要
《主の勝利》は、画家のジョン・エヴァレット・ミレイによって制作された作品。制作年は1871年から1871年で、マンチェスター市立美術館に所蔵されている。

モーセとその兄弟アーロンとハール
主の勝利は1871年に描かれたジョン・エヴェレット・ミレイの絵画で、アマレク人に対するレフィディムの戦いの間のモーセ、アーロンそしてハールを描いている。彼の風景画である《十月の冷気》と共にミレイのキャリアにとって大きな転換点になった。
この作品では、モーセの2人の兄弟アーロンとハールが、モーセの両腕をあげたまま掴み、アマレク人との戦いの際に祈り続けている。これは、ミレイが聖書の類型学を使用したもう一つの例の可能性もある。
旧約聖書の出エジプト記によると、モーセが祈りの中で武器を上げている限り、イスラエル人は勝利したが、もしモーセが疲れて腕を下げてしまうと、戦闘の形勢が逆転してしまう。出エジプト記の17章12節ではこう書かれている。
「モーセの手は重く、アーロンとハールは石を持ち彼の下に置き、その石の上に彼が座った。二人はモーゼの腕を片手ずつ手にしていた。そしてモーセの手は太陽が降りるまで安定して天に掲げられた。」
偶然ほかの画家に描かれた同じ構図
あるビクトリア朝時代の聖書の翻訳によると、戦いが一日中続くことからモーセにひどい緊張感を与えたこの出来事は、キリストの磔刑を予感させたという。ユリウス・シュノル・フォン・カロルスフェルトが書いた人気作品「絵付き聖書」は、ミレイの絵画が出る10年以上前に発表されたもので、アマレク人との戦いでモーセが祈りをささげる強力なイメージを含んでいた。
絵の中では、3人の男性が彼らの前にある見晴らしのいい地点に立っているのを見ることができる。ホルマン・ハントは、一日の労働の後に祈りをささげるイエス・キリストを示すために、本作品と同じポーズを《死の影》に使った。
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