作品概要
《不可視のライオン、馬、眠る女》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1930年から1930年で、ポンピドゥー・センターに所蔵されている。

『不可視のライオン、馬、眠る女』はサルバドール・ダリが、カダケス近郊の漁村ポルト・リガトに居を構えて最初に描いた絵画である。後にアヴァンギャルド芸術の保護者であったノアイユ子爵に買い上げられた。
荒涼とした大地に立つ神殿の柱のようなものの前に立つライオンと馬と女性のエレメントを持つ物体。胴体部分はボートにも見え、極端に小さかったりやや大きな骨格の人間や球体が配置される。
ダリが自らパラノイアクリティック、偏執的批判的方法((別名:ダブルイメージ、二重影像)と名付けた手法で描かれている。偏執的とは完全な妄想や強迫観念に身を任せた状態。ダリは二重映像について「私と狂人との唯一の違いは、私が狂っていないことだ。偏執的過程が次々と連続されていくと、さらに先へ伸びていくことが出来るんだ」と説明している。ダリが提示する複数のイメージが重なり、鑑賞者の意識に目にみえない内なる世界が広がり、ある現実の解釈に導いていくのである。
錯覚を利用し緻密な計算に基づいて構成されながら、存在しないものを存在するように見せるトロンプルイユ、文脈上まったく無関係と思われるもの同士を組み合わせて独特の世界観、詩的な効果を追求するデベイズマンなどのシュルレアリスム的な表現が幻想的な空間を作り上げている。
本作品は、パリの中心、レ・アール地区にあるポンピドゥセンターにヨーロッパ最大級の近代絵画コレクションの一部として所蔵されている。
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