作品概要
《サーカスの客寄せ》は、画家のジョルジュ・スーラによって制作された作品。制作年は1887年から1888年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

題材の変化
1889年代の半ばには印象派たちが好んで描いた郊外の楽しみの描写は都会の娯楽の様子へと取って代わり、それに伴い題材も作家、詩人、作曲家から曲芸師、ピエロ、カフェの歌い手へと変わっていった。
スーラの都会の娯楽への興味は、サーカスの客寄せに対してが一番大きいものとなった。情景は、夕方に路上で行なわれている客寄せで、通り過ぎる人々にサーカスのチケットを買うよう誘っている。
謎に満ちた絵
画面のパフォーマンスは全く快活でも陽気でもなく、大人しく気の塞がるような雰囲気である。細かいブラシを使って、スーラはキャンバスを無数の、暗い青紫、オレンジ、緑の点で覆った。彼の視覚に関する調査は科学的であるとされていたが、形成されたものは謎に満ちていた。
雰囲気のあるガス燈の下で、物体は空中浮揚しているように見え、手品師と役者たちは不気味に幾何学的で観客から離れている、手摺があることで傾斜路があるとわかるが、どこにも続いていないようだ。この世界では目に見えるものは何も確かなものはない、スーラは現実と空想とが大して違いがないことを示唆している。
サーカスの客引きは、スーラが初めて人気のある娯楽を題材に注力した、重要で代表的な作品である。実際に、彼の晩年の偉大な作品である、1889から90年に作成された《シャユ踊り》(オッテルロー、クレラー=ミュラー国立美術館)と1890から91年に作成された《サーカス》(パリ、オルセー美術館)の構成の先駆けとなった。
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