作品概要
《フェア・ロザムンド》は、画家のジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによって制作された作品。制作年は1916?年から1916?年で、カーディフ国立博物館に所蔵されている。

国王の愛人
フェア・ロザムンドことロザムンド・クリフォード(1150以前-1176ごろ)は美貌で知られ、イングランド国王ヘンリー2世の愛人だった人物である。
ロザムンドは国境地方の領主の娘として生まれた。クリフォード城で育てられたのち、オックスフォード近郊のゴッドストウ女子修道院で教育を受けた。ロザムンドがヘンリー2世と愛人関係になったのは、王妃エレノアが末子を妊娠して王宮を離れていた時だとされる。ヘンリー2世はウッドストックに館をたて、そこにロザムンドを住まわせた。ヘンリー2世との関係が終わった後、ロザムンドはゴッドストウに戻って修道院で暮らし、そこで死去した。
王妃との対立
ロザムンドについては様々な伝説が残されている。有名なものが、ヘンリー2世が建てたウッドストックの館の内部は迷路のように入り組んでおり、その迷路の最奥の部屋にロザムンドを隠していたというものである。迷わずにロザムンドの部屋にたどり着くには、糸を頼りにして行かなければならなかった。愛人の存在を知った王妃は激怒して、迷路の奥のロザムンドを探し出し、短剣で死ぬか毒薬で死ぬかを選ばせた。ロザムンドは後者を選び、毒をあおって死んだという。
この絵で描かれているのは、館の部屋から窓の外を見つめるロザムンドと、王妃エレノアが今まさに秘密の部屋を突き止め、憎い愛人を睨みつけている様子である。ロザムンドは目前に迫る危険に気が付かずに、ヘンリー2世を想いながらひざまずいて窓の外を眺めている。奥には彼女が織っていたであろう織物が置かれており、城と3人の騎士が描かれているのがわかる。奥のカーテンから中を覗き込む王妃の手には、部屋にたどり着くために使った織物の糸が握られている。
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