作品概要
《南の国のマリアナ》は、画家のジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによって制作された作品。制作年は1897年から1897年で、個人に所蔵されている。

愛を失った孤独な女性
シェイクスピアの戯曲『尺には尺を』を基にしたアルフレッド・テニスンの詩『南の国のマリアナ』に着想を得て製作された絵画である。マリアナは、結婚持参金を海に落としたために婚約者アンジェロとの結婚が破談になった女性。テニスンの詩の中では、マリアナは南仏と思われる場所に独りで住んでおり、婚約者アンジェロを失った孤独を聖母マリアに嘆いている。この作品では、鏡に向かって膝をつき、髪を手で触りながら自らの身の上を嘆くマリアナの姿が描かれている。
作者のウォーターハウスはギリシア神話やアーサー王伝説、シェイクスピアなどの文学作品に登場する女性を描いた作品で知られている。テニスンの詩を基にしたウォーターハウスの作品には、他に《シャロットの女》《レディ・クレア》などがある。
『尺には尺を』のマリアナ
マリアナが登場するシェイクスピア劇『尺には尺を』のあらすじを紹介する。
ウィーンに住むアンジェロは厳格な性格で、公務で不在の公爵ヴィンセンシオに代わって街を治めていた。ある日、若い貴族のクローディオが結婚の直前に恋人を妊娠させてしまい、アンジェロは死刑を宣告する。クローディオの妹の修道女イザベラが許しを求めてアンジェロに面会すると、アンジェロはイザベラを気に入り、彼女の純潔と引き換えに兄を助けることを提案した。
実はウィーンに残っていたヴィンセンシオはそれを知って、イザベラと共にアンジェロを欺く計画を立てた。それは、アンジェロをまだ愛している元婚約者のマリアナを呼び、暗闇でマリアナがイザベラと入れ替わるというものだった。計画は成功したが、アンジェロは約束を破ってクローディオを処刑しようとした。最終的にはヴィンセンシオが現れて真実が明らかになり、アンジェロはマリアナと結婚し、クローディオの罪は許されることとなった。
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