作品概要
《公園》は、画家のエドゥアール・ヴュイヤールによって制作された作品。制作年は1894年から1894年で、オルセー美術館に所蔵されている。

《公園》は、19世紀から20世紀のフランスの画家であり、ナビ派のひとりにかぞえられるエドゥアール・ヴュイヤール(1868-1940)によって1899年にかけて制作されたテンペラ画である。本作は、公園の日常的な風景が描かれた連作絵画である。
9枚1組の連作絵画
ヴュイヤールは、パリの森の通り(現在のフォッシュ通り)に家を構えるアレクサンドル・ナタンソンから制作の依頼を受けた。アレクサンドルは、1890年代に文学・芸術活動の中心となった雑誌『白いレビュー』の創設者タデ・ナタンソンの兄で、雑誌の運営にも関わっていた。ヴュイヤールの属するナビ派の支援者でもあった。本作はリビング・ルームとダイニング・ルームを兼ねた大きな部屋に飾られた。乳母に見守られているなかで遊んでいる子供たちの絵は、3人の小さな娘がいるナタンソン家にはうまく溶けこんだにちがいない。
もともと9枚1組だったが、4枚が分散してしまい、《遊ぶ子供たち》、《問いかけ》、《会話》、《赤い傘》の5枚がフランスのオルセー美術館に所蔵されている。走りまわる子供たち、保母たちに見守られて遊ぶ子供、話をする母と幼い娘、おしゃべりに夢中な女性たち、日傘をさして散策する人。そこの講演でも見られるような日常の風景が書かれている。
影響を受けた人物と技法
公園といった屋外をテーマにしていることから、印象派、とくにクロード・モネの影響が色濃く残っていることがわかる。装飾は、ヴュイヤールが高く評価していいたクリュニー中世美術館の中世のタペストリーから着想を得ているのだろう。
ヴュイヤールは、泥絵具を用いて、艶消し仕上げにしている。この手法は、イタリアのルネサンス期の画家であるピエロ・デラ・フランチェスカから、19世紀のフランスの画家であるピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌまでを魅了したフレスコ画と類似している。また、その色使いや構図、輪郭線を強調した平面的な描写には、日本画の影響が感じられる、とも言われている。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。