作品概要
《眠り》は、画家のエドゥアール・ヴュイヤールによって制作された作品。制作年は1892年から1892年で、オルセー美術館に所蔵されている。

《眠り》は、19世紀から20世紀のフランスの画家であり、ナビ派のひとりにかぞえられるエドゥアール・ヴュイヤール(1868-1940)によって1892年に制作された油彩画である。
ベットのイメージの変遷
ベッドや寝室を描くことは、長らく暗黙の不文律があった。つまり、王侯貴族や知識階級を表象するものだったり、高級売春婦の舞台とみなされていたのだ。
その典型例が、ロマン主義の画家ウジェーヌ・ドラクロワの描く《サルダナパールの死》(フランス、ルーブル美術館蔵)だ。サルダナパールはアッシリアの王で、栄華を極めた専制君主だった。その圧政に耐えかねて、反乱が起こる。反乱軍に窮地に追い込まれ、王は自害することを決めた。死ぬときは、すべての持ち物をもって逝く、と明言していた王は、死を前にして、奪い取った財宝をベッドまわりにばらまき、そばにいる女性たちのことを考えている。それが次世代になると、本作のように、誕生から死までの日常の1コマとして扱われはじめた。
浮世絵の影響
1891年から1892年の間、ヴュイヤールは小規模作品に数回このテーマを盛り込んだ。オルセー美術館に所蔵されている《ベッドにて》やピカソ美術館の《揺りかご》がその頃の作品である。
本作は、簡素化されたフォルムに、色数は抑えられた平面的に描いている。それにより、カンバスに無音の空間を作り上げている。ヴュイヤールが浮世絵の影響を受けていることがはっきりわかる。またこの技法は後年の大きな装飾絵画やリトグラフにも使用されている。
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