作品概要
《浴女》は、画家のウィリアム・アドルフ・ブグローによって制作された作品。制作年は1879年から1879年で、個人に所蔵されている。

彫像的なポーズの絵画
《浴女》は「生きたアンティーク」を描きたいというブグローの強い興味を示す良い例となる作品だ。理想的とされる女性のヌード、そして古典的な彫像が全体として素晴らしい調和を保っている。この水浴びする女性がとっているポーズは、カピトリーノ美術館にある「スピナリオ」という有名な銅像から来ている。若い少年が足に刺さった棘を抜こうとしているポーズだ。
ブグローは翌年、もう1点「スピナリオ」の姿を基にし、森の中で違うポーズをとった浴女を描いた。立っている女性が木の枝に掴まってバランスを取りながら、足に刺さっている棘を抜こうとしている。一方、《浴女》では女性が海岸にある大きな石の上に座り、薄紫色のニュアンスがかかった曇り空に囲まれた状態が描かれている。
その後、1884年の作品《二人の浴女》でも、霧がかかった海岸にある石の上でポーズをとる女性が描かれており、似たような風景設定となっている。本作品では構成要素は少なく、女性が絵画の最前面に出され、堂々とした佇まいをしている。
古典と現代の融合
ニューヨークカルチャーセンターで行われたブグロー展カタログで、ロバート・アイザックソンは作者の古典的絵画の先例に対する好み、彼の絵画スタイルの発展について下記のように述べた。
「彼は古代ギリシャ風の理想を絶対に捨てることがなかった。それを基礎にして現代の感覚、現代の理想を自分の中で完璧に統合するために利用していた。姿は非常に堂々としたものとなり、波打つような動きも少なくなり、より自然になった。色彩も透明感と繊細さが増し、雰囲気に与える効果はさらに説得力があるものとなった。」
この解説はまさに《浴女》を的確に表している。シンプルでエレガントな女性の姿が明るい光に囲まれ、画にさらなる輝きを与えている。
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