作品概要
《アルジャントゥイユの歩道橋》は、画家のアルフレッド・シスレーによって制作された作品。制作年は1872年から1872年で、オルセー美術館に所蔵されている。

本作品は19世紀の終わりにおける現代の生活を捉えている風景画である。作品の題材はシスレーの全作品の中では代表的なものではないが、それでも本作品は彼の作品のスタイルを代表するものとなっている。
本作品は、同時期の日本の浮世絵からインスピレーションを得たものであり、投影面が構成の主な焦点となっている。これは橋にはっきりと見られ、キャンバスの中心となっており、対角線の使用を通して構成をフラットにしている。こうすることで、シャープで素早い動きを引き起こし、それによって現代の生活のスピードを再現している。
キャンバスに施された技法
本作品では前景が前面に押し出され、キャンバスはトリミングされている。こうすることで、写真の自発性にに似た感覚を作り出している。
落ち着いた暗い色と明るい色の調和により、私たちの目は素早くキャンバスの上を走らせ、動いているように錯覚させる。
類似の作品
本作品と類似したものに、フランスの画家ギュスターヴ・カイユボットの1876年作《ヨーロッパ橋》がある。カイユボットが本作品《アルジャントゥイユの歩道橋》を知っていたかは定かではないが、両者とも風景を描くために似たような題材と視点を選んでいる。
この二作品において、現代の生活を捉える方法は異なっている。カイユボットは人物に焦点を合わせ、当時のファッションを通して近代性を称賛している。それに対し、シスレーの作品は建物に焦点を合わせており、橋沿いを散策している人々はあいまいな興味を示すにとどまっている。
シスレーは近代性を称賛してはいるが、それは橋のきめ細かい革新的な素材を通してなのである。
本作品の発している情報
本作品にははっきりとした物語はないが、当時の状況についての具体的な情報を与えてくれる。《アルジャントゥイユの歩道橋》は新たに出現したパリの外の郊外における中間層の休暇を描いている。
産業と新たに設置されたセーヌ川沿いの鉄道の発達とともに、新たな余暇へのアクセスが普及していったのである。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。