作品概要
《画家のアトリエにて》は、画家のオノレ・ドーミエによって制作された作品。制作年は1870?年から1870?年で、J・ポール・ゲティ美術館に所蔵されている。

《画家のアトリエにて》は、諷刺版画家であり油彩画家でもあるオノレ・ドーミエ(1808-1879)によって制作された油彩画である。一時期、ドーミエがほかの画家に影響を受けて制作した1枚だ。
ドーミエが影響を受けた画家
ドーミエは当時の都市の生活を諷刺的で人々の心に共感を生む描写を心がけていた。だが、ロココ美術を代表する画家ジャン・オノレ・フラゴナールの作品を1869年ルーブル美術館で見て以降、一時的に路線を変更した。
フラゴナールの輝くばかりのファ・プレスト(早描き)の効果によって生みだされた表現力に圧倒され、オマージュ作品として何点か制作した。《画家のアトリエにて》はそのうちの一枚である。
官能的な女性表現
ドーミエは女性的魅力に無関心で人物画も描かなかったが、フラゴナールの官能表現に魅せられて、その作品に登場するようなモデルを採用した。モデルは髪をアップにし、肩をあらわにしたドレスを着ている。ブラウスからゆったりとしたスカートまでドレスの襞をよらせたり、けばだたせたりする技量が冴えわたっている。まじめな表情、若い女のあらわな肩の様子や、彼女の放漫な腕の曲線、魅力的な首の傾きに我を忘れるといった印象を受ける。明らかにドーミエはフラゴナールの手法を模倣している。
男の袖、モデルの髪、女の光輝くような肌とドレスの見事な筆づかいをのぞくと、暗い色づかいと、冷静な筆さばきは、ドーミエの通常のスタイルで一貫している。背景には、キャンバスの前に覆いかぶさるように前かがみになっている画家が描かれている。
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