作品概要
《サン=ブリアックの砂浜》は、画家のポール・シニャックによって制作された作品。制作年は1890年から1890年で、プーシキン美術館に所蔵されている。

《サン=ブリアックの砂浜》は、フランスの新印象主義の最も重要な画家のひとりであるポール・シニャック(1863-1935)によって1890年に制作された油彩画である。本作が描かれた場所は、イル=エ=ヴィレーヌ県にあるサン=トロペの漁村にある砂浜だ。
点描画法の絵画
制作時、シニャックは点描画法の理論を世に知らしめるのに躍起になっていた。1884年に筆触分割の技法の生みの親ジョルジュ・スーラと出会ったためだ。スーラは、カンバスの上に何千もの原色の点を置いて、特異な世界を生みだした。シニャックもスーラの技法に倣った。暑い午後の砂浜と海の涼やかさが対照的に描き出されている。
晩年になって、シニャックがこの風景を描いた場合、サン=ブリアックの砂浜に写実性をもたらすために、もっとはっきりした色を使っただろう。砂浜の黄色、空と海のブルー、草木の緑にも、もっと陰影をつけたことだろう。
画家たちによるシニャック考
フランスの作家ポール・ヴァイヤン・クーチュリエは「シニャックは、芸術を愛し、人と海を好んだ」と述べている。シニャックの話好きで陽気な性格が、自然とカンバスにも表れている。
また、「シニャックは科学的な理論に基づいてではなく、感情、観察、体験によって色を選択している」と、アンリ・マティスは自身の著『画家のノート』のなかで書き綴っている。
シリーズのうちの一作
『海』と題された4枚の連作のうちの一作で、あとの3枚はヨーロッパとアメリカのプライベート・コレクションになっている。作品番号212の本作は海シリーズの最後の作品であることを示唆している。全シリーズは1891年のアンデパンダン展で一挙に公開されている。
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