作品概要
《ピュイ・ベルタンの小路》は、画家のポール・シニャックによって制作された作品。制作年は1887年から1887年で、ルーヴル美術館に所蔵されている。

《ピュイ・ベルタンの小路》は、フランスの新印象主義の最も重要な画家のひとりであるポール・シニャック(1863-1935)によって1887年に制作されたブラック・インクによるドローインクである。クリシーにあるピュイ・ベルタンには、七機のガスタンクのあるガス製造所を舞台にした。
ブラック・インクの濃淡で点描
1886年のドローイングは、道の両側に家があり、ガスタンクは3機あるが、そのうちの1機は民家で半分隠れている。画面には、貧しい親子とホームレス風の男を配している。
写真を見て制作されているのだろう。わずかに右寄りの視点は、同年に描かれた《クリシーのガスタンク》の油彩画と関係しているように見える。点描画法のスーラの影響を受けた色彩理論の問題はこの作品にはない。シニャックはこのドローイングで、ブラック・インクで点を描き、濃淡をつけ、写真のイメージを表現しようとした。
制作の背景
裕福な商人の家に生まれたシニャックは、印象派の画家の作品(とくにクロード・モネの作品)に傾倒していた。1883年にジョルジュ・スーラとの出会いを果たしてからは、彼の提唱する点描画法に今後の画家人生を左右するような影響を受けた。その頃スーラは自身の代表作となる《グランド・ジャット島の日曜日の午後》に取りかかっていた。シニャックも、同じ手法で制作した。
1884年になるとスーラとともにアンデパンダン美術協会(独立芸術家協会)を設立した。審査を通らなければならないサロンに対抗して、会費を払えば誰でも出展できる展覧会(アンデパンダン展)を行っている。本作は、その頃に制作された1枚である。
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