作品概要
《サン=トロペの松の木》は、画家のポール・シニャックによって制作された作品。制作年は1909年から1909年で、プーシキン美術館に所蔵されている。

《サン=トロペの松の木》は、フランスの新印象主義の最も重要な画家のひとりであるポール・シニャック(1863-1935)によって1909年に制作された油彩画である。1890年から、シニャックは松の木に興味を抱いてモティーフにするようになった。
独自のスタイルを確立
本作は新印象主義に傾倒したいた時期からかなり時間が経って制作されている。画家がオリジナルのスタイルを生みだしはじめている。印象主義からはじまり、慕っていた新印象主義のジョルジュ・スーラも夭折したあと、ついに従来のスタイルを捨て、自らの持ち味の華やかな色彩を表に出した。
印象主義の画風と点描画法を統合し、チューブから出したままの原色で多方向に流れるように、長い筆触で描いていった。このテクニックにより、流れる雲や、風に揺れる樹木の様子をありありと描くことに成功している。空に浮かんだ雲が流れていき、木々のあいまから木漏れ日がさすのさえ見えてきそうである。
画家の交友関係
《サン=トロペの松の木》からは、技巧の巧妙さではなく、一種のエモーションが伝わってくる。心の琴線に触れるような愉快で喜びの感情で満ち溢れている。本作はフォービズムの画家アンドレ・ドランも影響を受けている。
量感のある筆触は、画家フィンセント・ファン・ゴッホと共通するところがある。ポール・シニャックとゴッホは素晴らしい友人関係を築いていた。ゴッホが病に侵され、多くの友人に見放されたときも、シニャックはたびたび彼のもとを訪れている。
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