作品概要
《日傘の女》は、画家のポール・シニャックによって制作された作品。制作年は1893年から1893年で、オルセー美術館に所蔵されている。

《日傘の女》は、フランスの新印象派主義の画家ポール・シニャック(1863-1935)によって1893年に制作された油彩画である。
モデルとなった妻との出会い
モデルとなったバーサ・ロブレス(1862-1942)は、カミーユ・ピサロのまたいとこだった。シニャックとは1880年代初頭、パリのモンマルトルにあるキャバレー<シャノワール>で出会った。バーサはそれ以来シニャックと生活をともにするようになり、1892年11月7日に妻となった。本作が描かれる数か月前のことだ。
シニャックの作品のなかでは、新印象派主義のスタイルで完成させた肖像画は数点しかない。本作は、身近な家族や友人を描いたシリーズの最後の作品だ。シリーズにはほかに、ニューヨーク近代美術館に現在所蔵されている美術批評家のフェリックス・フェネオンの肖像画などもある。フェネオンと、バーサの肖像画の2枚から、シニャックという画家が色彩に関して卓越した知識をもちあわせていることが明示されている。
色彩のコントラスト
日傘をさす女性を横から眺める構図は、印象派の画家たちによってすでに描かれている。代表的な作品としてオルセー美術館所蔵のクロード・モネによる《戸外の人物習作(右向きの日傘の女)》と《戸外の人物習作(左向きの日傘の女)》の2枚がある。
しかしながら、印象派のテーマをとりあげてはいるものの、スタイルとしては、完全に新印象主義の手法で描いている。本作は、グリーンとオレンジ、赤とイエローパープルといった強烈なコントラストをなしている。モデルは、明るいオレンジ色の日傘を持って、右の方向を向いている。顔は日傘からの筆耕で反射しているが、残りの身体の部分は、全体的に青紫の光を浴びている。また、平面作品で奥行きを感じさせない。これは同時代の多くの画家の心を捉えた浮世絵の影響だと思われる。
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