作品概要
《ボレアス》は、画家のジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによって制作された作品。制作年は1903年から1903年で、個人に所蔵されている。

北風に吹かれて
ボレアスはギリシア神話の北風の神である。ボレアスは非常に力強い神で、暴力的であるとされる。髭をたくわえ、翼を持った姿で描かれることが多い。風の神アネモイの1人で、彼の他には南風のノトス、東風のエウロス、西風のゼピュロスなどがいる。
神話や伝説の一場面を描くことの多いウォーターハウスだが、この作品は神話などの特定の場面を描いた絵ではない。花の咲く春の風景の中、強い風を受けて少女の青灰色と青色のドレスが風にあおられている様子が描かれている。
この作品は90年近く行方がわからなくなっていたが、1990年代半ばに売りに出されて美術界で話題となり、当時のウォーターハウスの作品としては記録的な高値で買い取られた。
女性の絵で有名
ウォーターハウスは、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍したイギリスの画家。彼が生まれた頃に全盛期だったラファエル前派に影響を受けた作品が多い。絵画の題材はギリシア神話、アーサー王伝説、シェイクスピアの戯曲、歴史上の人物などである。特に、その中に登場する美しい女性を描いたことで知られている。
イタリアのローマで生まれたが、幼い頃にイギリス人の両親と共にロンドンに移った。両親が画家だったため、その影響で絵画を始め、1871年にロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(王立芸術院)の美術学校に入学した。1874年に初めてロイヤル・アカデミーの展覧会で作品を発表し、高評価を得る。それ以降、1916年までほぼ毎年展覧会に出品した。生涯で200点以上の作品を残している。
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