作品概要
《闘い・龍を退治する聖ゲオルギウス》は、画家のエドワード・バーン=ジョーンズによって制作された作品。制作年は1866年から1866年で、ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館に所蔵されている。

《闘い・龍を退治する聖ゲオルギウス》は、ラファエル前派の画家エドワード・バーン=ジョーンズによって描かれた連作の一部であり、聖ゲオルギウスのドラゴン退治伝説を描いている。
この連作は、水彩画家のマイルズ・バーケット・フォスターにより、彼のサリー州の自宅のダイニングルームを装飾するために依頼された。全部で七作ある連作のうち、本作は六番目の作品である。
ドラゴン伝説
主題は、イングランドの守護聖人でもある聖ゲオルギウスの有名な伝説である。
リビアのシレーヌという町では、人々が毒を吐くドラゴンによって苦しめられていた。羊を生け贄として差し出すことでドラゴンを鎮めていたが、あるときとうとう生け贄にする羊がいなくなってしまった。くじによって人間の生け贄を差し出すことになるが、くじに当たったのは王女サブラであった。サブラがドラゴンの餌食になりかけたとき、ローマの兵士ゲオルギウスが現われる。十字架の印によって守られて、ゲオルギウスはドラゴンを退治する。
描写
中世以来広く描かれてきた物語であるが、バーン=ジョーンズの描き方は、劇的というよりも詩的である。ドラゴンとの戦いは暴力的ではない。騎士の鎧のような肌が特徴的なドラゴンの姿は、中世のドイツで描かれたドラゴンに基づいている。
この作品で描かれたゲオルギウスは力強く、自信に満ちた様子でドラゴンを退治しているが、同時に知性を持ち合わせている。ぼやけたスフマート技法やゲオルギウスの優美な姿勢は、闘いの怖ろしさではなく、幻想的な雰囲気を描き出している。
バーン=ジョーンズは、1868年にも水彩で同主題の作品を描いている(ウィリアム・モリス・ギャラリー蔵)。こちらでは王女は背景の遠くに追いやられ、ゲオルギウスとドラゴンが前景に大きく描かれている。
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