作品概要
《ヒュラスとニンフたち》は、画家のジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによって制作された作品。制作年は1896年から1896年で、マンチェスター市立美術館に所蔵されている。

ニンフの誘惑
ギリシア神話で、ヒュラスがニンフたちに誘惑される場面を描いた作品である。ウォーターハウスは1893年にも同様の場面を描いた《ナイアド》を制作している。
青い服に赤い帯を身に着けたヒュラスが、左手に持った水差しで水を汲もうとしている。だが彼はすでにニンフの魅力にとらわれて、彼の右腕を掴んでいるニンフの目を前のめりになって見つめている。ニンフたちはみな美しく、水面に浮かぶ蓮の葉の間からその裸体が透けて見える。若者を死に誘うニンフたちは官能的に描かれ、危険な魅力を発散している。
ヒュラスはヘラクレスに愛された美しい青年で、ヘラクレスの誘いでイアソンが率いる船アルゴの船員となり、金羊毛皮を探す旅に出た。一行がある島に停泊した時、ヒュラスは水を探す役目を負った。泉を見つけ、水を汲んでいると、彼は水のニンフたちに囲まれてしまった。彼女たちに誘惑されたイアソンは水の中に引きずり込まれ、そのまま帰ってこなかった。
作者について
作者のウォーターハウス(1849-1917)はイタリアのローマで生まれたが、両親がイギリス人で、彼が幼い頃に一家でロンドンに引っ越した。画家だった両親の影響で絵画を始め、1871年にロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの美術学校に入学。3年後の1874から同所の展覧会で作品を発表し始め、死の直前の1916年までほぼ毎年出展していた。ギリシア神話やアーサー王伝説、シェイクスピア劇の場面を描いた作品、特に女性の登場人物を描いたものが知られている。
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