作品概要
《オフィーリア(1894年)》は、画家のジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによって制作された作品。制作年は1894年から1894年で、個人に所蔵されている。

狂気に陥る悲運の女性
作者のウォーターハウスは、19世紀後半から20世紀初めにかけて活躍したイギリスの画家。神話や伝説、文学作品に登場する女性を好んで描いている。オフィーリアは何度か作品の主題に扱われた彼のお気に入りの人物の1人で、1889年、1910年にもオフィーリアの絵を描いている。
オフィーリアは、シェイクスピアの戯曲『ハムレット』に登場する悲劇のヒロインである。デンマークの若い貴婦人で、王子ハムレットの恋人だったが、父への復讐を目論むハムレットに誤って父ポローニアスを殺されてしまう。さらに彼に冷たくされたオフィーリアはついに狂気に陥り、登った柳の木から川に落ちて溺死してしまう。
静かな狂気
オフィーリアは睡蓮の広がる沼に向かってたわんだ木の幹に座り、髪に手をやっている。オフィーリアを扱った絵画では、その狂気や悲壮感が描かれることが多いが、この作品の彼女は普通の女性とあまり変わらず、落ち着いて見える。
だが、オフィーリアのドレスには豪華な宝石があしらわれており、この人工物と周りの自然との対比が、彼女の存在の異様さを生み出している。両家の子女である彼女が、1人で自然の中にいることなど通常はあり得ないのである。
彼女の髪に飾られたポピーは死と眠りの象徴であり、膝の上のデイジーは無邪気さの象徴である。背景の沼には黒い影が落ち、暗い雰囲気を出している。また、彼女が座っている木は沼に向かって伸びており、彼女にこれから起こることをほのめかしているようだ。
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