作品概要
《赦免の木》は、画家のエドワード・バーン=ジョーンズによって制作された作品。制作年は1881年から1882年で、レディ・リーヴァー美術館に所蔵されている。

《赦免の木》は、ラファエル前派の画家エドワード・バーン=ジョーンズによって1881年から1882年にかけて描かれた油彩画である。レディ・リーヴァー美術館に所蔵されている。
主題の物語
この作品の主題は、ギリシャ神話の悲恋の物語に基づいている。トロイア戦争後、英雄テセウスの息子デモフォンは、トラキア王の娘であるフュリスと恋に落ちた。結婚の約束を交わした後、デモフォンはアッティカに帰った。フュリスはデモフォンの帰還を待ち焦がれ、そのうち悲しみにくれて自殺してしまう。神は彼女をアーモンドの木に変身させた。その死を嘆き悔いるデモフォンが木を抱き締めると、突然花が開き、フュリスが再び姿を現した。
情熱的な描写
フュリスはアーモンドの木から飛び出し、その腕を恋人にからめている。バーン=ジョーンズがしばしば描いた、恋愛、裏切り、悔い改め、許しなどの暴力的な熱情は、神話という主題、および洗練された抽象的デザインの中で視覚化されている。これは物語のクライマックスの表現力を大きく高めている。
以前描いた水彩画の改作
1870年に、バーン=ジョーンズは《フュリスとデモフォン》(バーミンガム美術館蔵)という水彩画を描いている。展覧会にて展示されると、デモフォンの裸体の描写に不適切な部分があると苦情を受け、二週間経たずに撤去された。その後改作として描かれたのが本作である。
水彩画では、フュリスとデモフォン両方の顔は画家の愛人マリア・ザンバコをモデルにしたものであった。本作《赦免の木》では、フュリスのみザンバコをモデルとしたものとなっている。
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