作品概要
《ラミアー》は、画家のジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによって制作された作品。制作年は1905年から1905年で、個人に所蔵されている。

ファム・ファタール
ジョン・キーツの1819年の詩「レイミア」に着想を得た作品である。《ラミアー》は複数のバージョンがあるが、これは一番初めに描かれたもの。
ウォーターハウスはイギリスの画家で、19世紀後半から20世紀前半に活躍した。ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(王立芸術院)の展覧会の常連で、生涯で200点以上の絵画を制作した。その多くは神話、歴史、文学作品を題材とし、そこに登場する女性を描いている。彼の好んだテーマのひとつが、ファム・ファタール(男を惑わせ、破滅に導く魔性の女)である。
キーツの詩「レイミア」は、結婚初夜に妻の正体が若者を喰らう蛇体の怪物だったと知る夫の物語である。男を誘惑する妖婦という点で、ラミアー(レイミア)はファム・ファタールと言うことができる。この絵のラミアーは、身に着けたドレスの下半分が蛇の模様になっており、人間に近い姿で描かれている。足元には蛇の抜け殻が巻き付いているが、これは彼女が蛇から人間の姿に変身したことを示唆している。
蛇女の起源
元々ラミアーは、ギリシア神話に登場する古代リビュアの女性であった。ゼウスとの密会を知ったゼウスの妻ヘラによって子供を殺されたことが原因で、子供を食べる怪物となったとされる。
後にラミアーは悪霊と見なされるようになり、若者を誘惑した後に彼らを食らう存在とされた。ラミアーはまた、古来から蛇体の怪物としても描かれており、キーツの詩では、彼女は蛇の外観をしているが人間の姿になりたがっているという設定である。
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