作品概要
《栗の木のある道、ラ・セル=サン=クルー近く》は、画家のアルフレッド・シスレーによって制作された作品。制作年は1867年から1867年で、イギリスに所蔵されている。

この壮大な景色は1868年に開催されたサロン(毎年パリで開催される現代美術展覧会)で展示されたものである。《栗の木のある道、ラ・セル=サン=クルー近く》は、ラ・セル=サン=クルーの村近くの重い日陰の森へと続く狩猟の小道を描いている。
シスレーは、1865年にこのテーマを2度描いている。本作品のアイデアおよび強い色彩はバルビゾン派を彷彿とさせる。事実、本作品はホッベマ、ルソー、コローおよびドービニーと比較されている。
柔らかな筆の運び
《栗の木のある道、ラ・セル=サン=クルー近く》はシスレーの初期の作品の代表的な例の一つであり、柔らかな筆の運びでよく知られている。グリーンとグレーのトーンを重ねることで、森の強い色彩を描いている。
小道の右側に立っている鹿は、王室を題材としていることを示唆しているのであろう。
サロンに受け入れられた理由
この王室の猟場はナポレオン三世が所有していた。それにより、1868年のサロンに本作品が受け入れられたと考えられる。
さらに、シスレーは風景画を描く中に、「二流」のジャンルであると見なされていた、王室の題材に対する軽蔑を表していると考えられる。シスレーの後期の作品では、自然への近代的なハッとするような感情を表現していると思われるが、本作品においてシスレーが政治的姿勢を示したのかは不明である。
シスレーはアカデミーの規制から外れた制作活動をし、印象派の運動の先駆者であった。本作品は新しい題材の試験的な作品なのであろう。
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