ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの肖像

《ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの肖像》は、イギリス人の画家であり、ラファエル前派を1848年に創始した美術家の一人である、ウィリアム・ホルマン・ハントによる絵画である。

作品のテーマ

本作で描かれているのは、イギリスの画家であり、ハント同様ラファエル前派の創始者の一人であった、22歳頃のダンテ・ゲイブリエル・ロセッティである。

作品の経歴

ハントは本作をロセッティの死後に、もう一度油絵として描いている。双方ともほぼ同じサイズで制作されている。油絵の方の肖像画は制作されて以降、ハントの応接間に飾られ続けていたと言う。

チョークで制作された本作は、現在イギリスのマンチェスター市立美術館の所蔵にある。一方、油絵の作品はイギリスのバーミンガム美術館に置かれている。

ラファエル前派において中心的役割を担った人物

ロセッティは後に、ラファエル前派に魅せられた若い画家や小説家達にとって、最も大きな影響を与えた一人であったと言われている。

特に、ウィリアム・モリスやエドワード・バーン・ジョーンズなどが、ラファエル前派の第二世代と言われる芸術家達に入れられる。

ハントの画法の特徴

ハントの絵画は細部まで注意が行き届いており、鮮やかな色使いと複雑に組み込まれた象徴的要素が特徴的である。

ハントは自らの画法を形成するにあたって、美術評論家のジョン・ラスキンと、歴史家・評論家のトーマス・カーライルの著作に大きな影響を受けていた。ラスキンとカーライルは、世界が視覚的な記号により成り立っていると主張し、ラファエル前派の思想的背景にも大きな影響を与えた。