クローディオとイザベラ

《クローディオとイザベラ》は、イギリス人の画家であり、ラファエル前派を1848年に創始した美術家の一人である、ウィリアム・ホルマン・ハントによる絵画である。

シェイクスピアの戯曲に基づいた作品

本作は、ウィリアム・シェイクスピアが17世紀初頭に制作したと言われている戯曲、「尺には尺を」に基づいている。

戯曲の登場人物であり、本作に描かれているクローディオとイザベラは、兄弟である。

原作のテーマ

ここで描かれているシーンは、クローディオが愛人を妊娠させたという冤罪で逮捕された後の場面である。実際には、彼はその愛人と既に婚約していた。

一方イザベラは、修道女になることを決めていた。しかし、クローディオを逮捕した男から、自分と関係を持てばクローディオを釈放する、と脅される。

イザベラは最終的にこの提案を断るが、ハントが描いているのは、クローディオがイザベラに自分を助けるよう、懇願している場面であると解釈されている。

原作のテーマ

戯曲のテーマには、正義、ウィーンにおける死の可能性と慈悲、そして汚職と純粋な要素の対比などが挙げられる。

最後に慈悲と善行が勝利する原作は、悲劇には終わらず、最後のシーンでは哀れみと寛容性などが大きな役割を果たす。

ハントの画法の特徴

ハントの絵画は細部まで注意が行き届いており、鮮やかな色使いと複雑に組み込まれた象徴的要素が特徴的である。

ハントは自らの画法を形成するにあたって、美術評論家のジョン・ラスキンと、歴史家・評論家のトーマス・カーライルの著作に大きな影響を受けていた。ラスキンとカーライルは、世界が視覚的な記号により成り立っていると主張し、ラファエル前派の思想的背景にも大きな影響を与えた。