作品概要
《イザベラとメボウキの鉢》は、画家のウィリアム・ホルマン・ハントによって制作された作品。制作年は1868年から1868年で、レイン・アート・ギャラリーに所蔵されている。

《イザベラとメボウキの鉢》は、イギリス人の画家であり、ラファエル前派を1848年に創始した美術家の一人である、ウィリアム・ホルマン・ハントによる絵画である。
作品のテーマ
本作には、イギリスの詩人ジョン・キーツによる「イザベラ、あるいはメボウキの鉢」という詩の一場面が取り上げられている。
ヒロインであるイザベラが、殺された恋人のロレンツィオの切断された首が入れられた、メボウキの鉢を抱擁している様子が描かれている。
作品の特徴
本作に登場するイザベラは眠ることができず、半透明のガウンを着てベッドから起き上がったばかりである。布団の剥がされたベッドが、絵の奥の方に見える。
彼女が覆いかぶさっているのは、自ら作ったロレンツィオへの祭壇である。豪華な飾りが施された祈祷台の上には、複雑な刺繍のなされた布がかけられている。
ロレンツィオの首の入った鉢には、骸骨の装飾がつけられている。
耽美主義の広がり
ハントは本作で強調したのは、官能性、鮮やかな色彩、そして豪華絢爛な装飾品である。これは耽美主義が、ハントを含むラファエル前派の画家達の間で広まってきたことを示す一例である。
ハントの画法の特徴
ハントの絵画は細部まで注意が行き届いており、鮮やかな色使いと複雑に組み込まれた象徴的要素が特徴的である。
ハントは自らの画法を形成するにあたって、美術評論家のジョン・ラスキンと、歴史家・評論家のトーマス・カーライルの著作に大きな影響を受けていた。ラスキンとカーライルは、世界が視覚的な記号により成り立っていると主張し、ラファエル前派の思想的背景にも大きな影響を与えた。
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