作品概要
《ピグマリオンと彫像Ⅲ(女神のはからい)》は、画家のエドワード・バーン=ジョーンズによって制作された作品。制作年は1875年から1878年で、バーミンガム美術館に所蔵されている。

《ピグマリオンと彫像》は、ラファエル前派の画家エドワード・バーン=ジョーンズにより、1875年から1878年の間に制作された連作である。四つの油彩画で構成されている。
二つの連作
バーン=ジョーンズは以前にも同主題の連作を描いており、そちらは1867年から1870年の間に制作されている。最初の連作はより暗い色調であり、流れるような曲線が特徴の二度目の連作と比較すると、やや直線的である。二度目の連作は油彩にもかかわらず、チョークの光沢と柔らかな色調が見える。
最初の連作は作曲家アンドルー・ロイド・ウェバーが所有しており、二度目の連作はバーミンガム美術館に所蔵されている。本記事は、二度目の連作について解説したものである。
主題
絵画の主題は、愛と美の女神アフロディーテ出生の地であるキプロス島の王ピグマリオンの物語である。ピグマリオンは理想の女性像としてガラテアの像を彫る。そのうち彫像のガラテアに恋をしたピグマリオンは像が人間になることを願い衰弱していく。それを見たアフロディーテがガラテアを人間にし、ピグマリオンはそれを妻として迎える。
オウィディウスの「変身物語」内の物語であるが、この連作が描かれるまでに、画家の友人であるウィリアム・モリスが、独自にこの物語を書いている。
図像解説
「変身物語」には、ピグマリオンがアフロディーテの神殿で祈る場面がある。そこで彼は、何年もの間女神を避けていたことに対する許しを請い、ガラテアのような完璧な妻を願った。ピグマリオンの留守中、アフロディーテはガラテアに命を与えるためにアトリエに現れる。その足元には海水、白い鳩、バラなどの、彼女を示すアトリビュートが見られる。
同じような表情や大理石のような白い色調など、2人の女性の間にはほとんど違いが見られない。皮肉なことに、彼女たちの絡み合った腕とアフロディーテの射抜くような視線は、《恋心》に描かれたピグマリオンによって軽蔑された女性たちの反復となっている。
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