作品概要
《オフィーリア(1889年)》は、画家のジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによって制作された作品。制作年は1889年から1889年で、個人に所蔵されている。

画家が好んだ題材
この絵はロイヤル・アカデミーの美術学校を卒業する際に製作された。現在は作曲家のアンドルー・ロイド・ウェバーが所有している。ウォーターハウスは1894年、1910年にも、それぞれ別の場面のオフィーリアを描いている。
ウォーターハウスは神話や伝説に登場する女性の姿を描いた作品が多く、最も有名なものはアーサー王伝説を基にした《シャロットの女》のシリーズである。だが、その次にウォーターハウスが好んで描いたのはこのオフィーリアであろう。
悲劇のヒロイン
オフィーリアは、シェイクスピアの戯曲「ハムレット」に登場する悲劇のヒロイン。デンマークの若い貴婦人で、王子ハムレットの妃候補とされていた。ハムレットに父ポローニアスを殺され、さらにハムレットの愛を得られないことを知って狂気に陥る。最終的には、登った柳の木の枝が折れて小川に落ちて溺死してしまう。
この絵の中のオフィーリアは、草むらに錯乱した様子で横たわっている。奥には、彼女が命を落とすことになる柳の木々と、小川が見える。オフィーリアは左手でデイジーがからまった乱れた髪をつかみ、右手にはキンポウゲの花の束が握られている。それまで集めていたであろう花が、膝の上に残っている。また、木々の間から彼女に向かってツバメが低く飛んでくるのが見える。
死の間際のオフィーリアの錯乱した様子が伝わってくる作品である。《シャロットの女》もそうだが、ウォーターハウスの作品には、水の近くで死んでいく女性を描いたものが多い。
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