作品概要
《過去-現在-未来》は、画家のオノレ・ドーミエによって制作された作品。制作年は1834年から1834年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

《過去-現在-未来》は、諷刺版画家であり油彩画家でもあるオノレ・ドーミエ(1808-1879)によって制作されたリトグラフである。
風刺版画家ドーミエの誕生
1830年代初め、フランスの漫画家であり、ジャーナリストのシャルル・フィリポンは、諷刺画とジャーナリズムを融合しようと、週刊の諷刺新聞『カリカチュール』を創刊した。この新聞にドーミエはリトグラフを発表し、広く世に知られる諷刺版画家になった。
《過去-現在-未来》は、1834年の1月9日に、『カリカチュール』に掲載されたリトグラフである。1831年のルイ・フィリップ王を諷刺した作品だった。
梨になぞらえられた国王
洋梨が国王ルイ・フィリップの相貌を思い起されると考えたのはフィリポンだった。以降、洋梨がこの国王を表象するものとして表現されるようになった。ドーミエも多くのリトグラフのなかで、洋梨のフィリップ王の姿を見事に描写している。
梨の例えは、文字通りの梨型の顔つきと、低能さという二重の意味がある。三つの梨型の顔は、笑顔から、意地の悪い顔に移り変わっている。過去は笑顔だったが、現在は何かを案じ、未来はいかめしい顔つきになっている。
三つの顔
三つの顔は、過去、現在、未来を表している。政権の座を握った彼に反感を持ち、即刻退位してほしいとの願いをこめた一枚だ。王は、選挙時は、若々しく溌溂とした姿を見せていた。だが、いざ政権を握ると丸々と太った傲岸不遜な顔になった。そしてその先にあるのは、なんともいえぬ醜い顔だ。
1830年にシャルル・フィリポンによって創刊された諷刺新聞『カリカチュール』は、1835年に政府の弾圧によって廃刊に追い込まれている。
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