作品概要
《不快な出会い》は、画家のオノレ・ドーミエによって制作された作品。制作年は1845年から1845年で、ナショナル・ギャラリー・オブ・アート(ワシントン)に所蔵されている。

《不快な出会い》は、諷刺版画家であり油彩画家でもあるオノレ・ドーミエ(1808-1879)によって制作されたリトグラフである。
ブルジョワの家族
シャルル・フィリポンが刊行する諷刺新聞『シャリヴァリ』と『カリカチュール』でのリトグラフを制作しはじめた当初から、ドーミエはパリのブルジョワジーに対して鋭い視線を向けている。
立派な服装をしたブルジョワの家族が、自然のなかを歩いている。ピクニックだろうか。こういった田舎の泥道では、三人は勝手が違うのか、うまく進めない。道で出会った大きなカエルに驚き、その生き物から身を守るように夫の陰に隠れる。いっぽう、暖衣飽食に慣れたような男のミニチュア版である子供はびっくりして片方の腕をあげている。
ブルジョワジーを諷刺しつづけるドーミエ
美術評論家であるローラ・カミングは『ガーディアン』紙のなかで、「ドーミエは、パリの核心、言い換えると、パリに住む人々の姿をだれよりも正確に伝えている。しかしながら、驚いたことに、こうしたパリのブルジョワジーを間近で観察しているが、実際の生活の場面で描いていない。画家の共感的想像力が働いて舞台が転換し、著しい例えとして取り上げられている」と述べている。
じっさい、ドーミエはブルジョワ―に抱く典型的なイメージの人物像を作りあげ、何回も諷刺画に登場させている。そして、そういった特色を持つ人物の諷刺画は、人々に強烈なインパクトを与えるためにデフォルメされている。このリトグラフもまさにその例だ。見るからに裕福そうな男は、梨のようにでっぷりと腹が膨れている。行き過ぎた資本主義のなかで私腹を肥やす男を、ドーミエは生涯を通して諷刺しつづけた。
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