作品概要
《チェスを楽しむ人》は、画家のオノレ・ドーミエによって制作された作品。制作年は1863年から1867年で、プティ・パレ美術館に所蔵されている。

《チェスを楽しむ人》は、諷刺版画家であり油彩画家でもあるオノレ・ドーミエ(1808-1879)によって制作された油彩画である。諷刺版画家として広く知られているドーミエだが、死後《チェスを楽しむ人》のような油彩画にも注目が高まっている。
親子の真剣勝負
薄暗い部屋に、ふたりの人物がチェスをしている。おそらく父親と息子だろう。お互いに向かい合って、真剣にゲームに打ちこんでいる。息子は頬杖をつき、チェスの駒の配置を眺めている。そのくつろいだ顔の表情や姿勢から、対戦相手である父親よりチェスの腕前が達者なことが画面を通じて伝わってくる。現在のゲーム展開に満足し、対戦相手の出方を待っている。
いっぽう、父親のほうは不安そうで、体に力が入り、椅子から腰を少し浮かせて前のめりになっている。手はテーブルの端をつかんでいる。明らかに焦慮の色を濃くし、ゲームを見守っている。もはや負けは免れないと考えているのだろうか。
ドーミエの卓越した技術
オノレ・ドーミエは生涯を通じて、何千点もの作品を制作した。《チェスを楽しむ人》は、油彩画における彼の熟達した技量がうかがえる一枚だ。チェスに興じる場面の臨場感と白熱ぶりが真に迫っている。正々堂々とした試合の取り組みの模様だけでなく、手に汗握る場面の並々ならぬ緊張感までも描き出している。
《チェスを楽しむ人》における配色にも注目したい。ふたりはチェスの駒の色と同じ色の服を身につけている。駒の色と同様、父親の白い服と、息子の黒い服も対照をなしている。
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