作品概要
《木々の道、リスル=アダンの森》は、画家のテオドール・ルソーによって制作された作品。制作年は1846年から1849年で、オルセー美術館に所蔵されている。

ルソーは1836年、本作と同じようなレイアウトの作品《ジュラ高原から下る牛》でサロンに落選し、嘲笑されている。その後フランス美術界で名声を得たルソーは、本作で縦長の風景画に再び取り組んだ。この作品は当初、「緑色の道」という画題で展示された。
戸外での制作
アルフレッド・センシエに「ドルイド寺院」と呼ばれたこの絵は、古代ドルイドの信念のような自然との親交を表現する、ルソーの才能をよく示している実例である。ルソーは、戸外で自然を直接描き、アトリエで細部を加えて完成させるという手法で知られている。しかしこの作品は、木々や葉に囲まれた屋外ですべてを描かれた。その点で、ルソーの制作手法においては例外的な作品といえる。
ルソーは1846年の春に絵を描き始め、仲間の画家ジュール・デュプレと一緒にリスル=アダンに滞在している間制作を続けたが、完成するまでに二年の歳月を要することとなった。
写真との関連
長期間の制作にもかかわらず、羊飼いの観察下で放牧されている牛の、一見写真のような瞬間を捉えている。これは驚くべきことである。影から光への移行は、初期の写真技術におけるビネット(周囲を暗く映す技法)のような効果を作り出している。
ルソーはこの作品を通し、当時人気が高まっていた写真を上回るような絵画の力を証明する必要性を感じていたのかもしれない。彼は、写真では撮ることのできないだろう場面を作り出すために、一日のうち最も困難な時間、つまり正午を選び、本作を描いた。
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