作品概要
《神殿で見いだされた主キリスト》は、画家のウィリアム・ホルマン・ハントによって制作された作品。制作年は1854年から1860年で、バーミンガム美術館に所蔵されている。

《神殿で見いだされた主キリスト》は、イギリス人の画家であり、ラファエル前派を1848年に創始した美術家の一人である、ウィリアム・ホルマン・ハントによる絵画である。
作品のテーマ
本作は、『新約聖書』の「ルカによる福音書」2:41-52に記された場面である「博士たちの間で論議するキリスト」の話を、民俗学的に正しく表現することを目的として描かれた。
この場面では、幼少期のイエスがユダヤ教の学者であるラビたちと、律法の解釈について議論している。
新約聖書の一場面
ハントが描いた場面は、イエスの両親であるマリアとヨゼフが、神殿で議論に没頭するイエスを見つけた瞬間である。
学者たちのイエスのに対する反応は様々であり、画中には興味深く耳を傾ける者や軽蔑的な者、怒っている者も見られる。
中東への旅をもとに描かれた作品
ハントは宗教画の復活に向けて、民俗学的な正確性と、神学的象徴性を組み合わせることに大きなこだわりを持った。
そのため、彼は本作を描くために中東にまで旅をして、地元の人々をモデルにしたり、古代ユダヤのしきたりや儀式を勉強した。
ハントの画法の特徴
ハントの絵画は細部まで注意が行き届いており、鮮やかな色使いと複雑に組み込まれた象徴的要素が特徴的である。
ハントは自らの画法を形成するにあたって、美術評論家のジョン・ラスキンと、歴史家・評論家のトーマス・カーライルの著作に大きな影響を受けていた。ラスキンとカーライルは、世界が視覚的な記号により成り立っていると主張し、ラファエル前派の思想的背景にも大きな影響を与えた。
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