作品概要
《ベキニーの村》は、画家のテオドール・ルソーによって制作された作品。制作年は1857?年から?で、フリック・コレクションに所蔵されている。

図像解説
サファイア色の空の下、村の茅葺屋根の家々の間に、木の影のような旅行者が見える。村は、旅行者の孤独に共鳴しているようである。この絵は、ルソーが1857年にピカルディー地方を旅行した際、その穏やかな田舎の生活を見たことで感銘を受け、描かれたものである。
彼は人間の住居に重点を置くことを避けるようにしていたので、遠景の家々は、前景に描かれた地面や丘の延長線として描かれている。構成上、家々は地面と空を結びつけるような位置に描かれており、木々は横長の画面が単調にならないよう考えられて配置されている。本作は、成熟した風景画家としてのルソーの才能を示すよい見本である。
浮世絵に触発された青空
1864年のサロンでの展示を控えた前夜、出会ったばかりだった日本の浮世絵の斬新さに刺激されたルソーは、驚くほど鮮やかな青で空全体を塗り直した。作品は注目を集めたが、批評家はこの空について、「過剰な発明だ」として否定的な反応を示した。結果的にルソーは、空をより柔らかな色調だった元の状態へと戻した。
自然の無垢な印象
本作は1862年に個人のコレクターによって購入されたが、ルソーは没するまで作品の調整をやめず、満足することはなかった。友人で伝記作家のアルフレッド・センシエが、ベキニーから帰った後も作品に長くとりかかるのをやめるよう告げると、ルソーは手紙にこう書いた。
「私の村を恐れないでほしい。もしパリでこの作品の最後の一筆を描いたら、自然の無垢な印象はもう現れることがない。それはずっと以前から存在し、消え去ることはないのだ」
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。