作品概要
《石割人夫》は、画家のギュスターヴ・クールベによって制作された作品。制作年は1849年から1849年で、ドレスデン美術館(この作品は1945年に焼失)に所蔵されている。

マルクス、エンゲルスの『共産党宣言』が出版された翌年、1849年に描かれた作品である。
この作品は1950年にパリのサロンにて発表されたが、第二次世界大戦中の1945年、ドレスデンに投下された爆弾によって破壊されてしまった。
クールベの作風
クールベは写実主義の代表的な画家で、社会主義に傾倒した。
当時のフランス社会における農民の厳しい生活のありのままを表現した作品が多く、特にこの《石割人夫》は社会哲学者のプルードンからも絶賛された代表作のひとつだ。
作品が表す場面
この作品の舞台は、クールベの故郷であるオルナン地方近郊の小さな村である。
彼が家族とそこを通りかかった際に見た光景を、そのまま絵画で表現した。貧しい2人の男性が労働者として石を割る様子は、当時の社会に蔓延していた貧困問題に対する鋭い視点を反映している。
クールベ自身の作品解説
クールベ自身が友人に宛てて書いた手紙には、以下のような作品の説明が記されている。
「この場面で肉体労働を強いられているのは、若い青年と年配の男性だ。年配の男性は、帽子をかぶっているが、これは長時間の屋外労働により頭部皮膚を日焼けしているためだ。帽子は雨や砂埃で黒ずみ、ズボンは穴が空いたのか、つぎはぎ用のあて布がついている。身につけている木靴にも亀裂が入っている隣の青年は15歳くらいと推定されており、働くにはあまりにも若い。ぼろ布で作られたシャツをきているが、腕と脇腹の部分には大きな穴が空いている。地面散乱している道具は、鍬や石炭入れなどだ。」
このように、こだわりを持ってリアルに描かれた細かい描写から、この男性たちが貧しい生活をしていたことがうかがえるだろう。
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