作品概要
《良心の目覚め》は、画家のウィリアム・ホルマン・ハントによって制作された作品。制作年は1853年から1853年で、テート・ブリテンに所蔵されている。

《良心の目覚め》は、イギリス人の画家であり、ラファエル前派を1848年に創始した美術家の一人である、ウィリアム・ホルマン・ハントによる絵画である。
作品のテーマ
本作は一見、夫婦のちょっとした仲たがいを描いているように見えるが、題名と絵画中の象徴的な要素から、実際には男性とその愛人が描かれていることが汲み取れる。
女性の左手の位置から、彼女が結婚指輪をはめていないことが強調されている。また、テーブルの下で鳥で遊んでいる猫、ガラスの中に閉じ込められた時計、ピアノの上にかけられた未完成のタペストリー、ほつれた糸など、部屋中に彼女が愛人であるというヒントが散りばめられている。
背景の鏡には魅力的な外の世界が映されており、部屋の中の閉塞感や様々な罠のシンボルとは対照的に、開放的で光に満ちた世界が表現されている。女性は今置かれている状況よりも、部屋や男性との関係性の外にあるものに惹かれているのだ。
作品の来歴
本作が展示された当時、女性は今とは別の表情で描かれていた。
当時、女性の顔は苦痛と恐怖で歪められており、批評家から多くの批判を受けた。作品を依頼したトーマス・フェアバーン本人も、日々女性の顔を見ることが耐え難いとハントに相談し、ハントはそれに応じて柔らかい表情に変えたという経緯がある。
ハントの画法の特徴
ハントの絵画は細部まで注意が行き届いており、鮮やかな色使いと複雑に組み込まれた象徴的要素が特徴的である。
ハントは自らの画法を形成するにあたって、美術評論家のジョン・ラスキンと、歴史家・評論家のトーマス・カーライルの著作に大きな影響を受けていた。ラスキンとカーライルは、世界が視覚的な記号により成り立っていると主張し、ラファエル前派の思想的背景にも大きな影響を与えた。
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