作品概要
《サビニの女たちの略奪》は、画家のピエトロ・ダ・コルトーナによって制作された作品。制作年は1627年から1629年で、カピトリーノ美術館に所蔵されている。

サビニの女たちの略奪は、ローマ神話に伝えられる事件であり、ローマの男性はその地域の他の都市から若い女性を大量に拉致した。この絵画の主題はルネサンス及び後期ルネサンスにおいて頻繁に画家たちが取り上げた。
「強姦(rape)」という語が使われているのは、ラテン語の「raptio」に由来するものであるが、現代の学者は「略奪」と訳す傾向にあり、暴力や性的暴力が行われていたことには批判的である。しかし女性に対する行為がどのように判断されるべきかは、未だ論争が残っている。
作品の背景
サケッティ家は、ピエトロ・ダ・コルトーナがちょうどローマで画壇を制作を終え、有名になった頃の1620年代にこの絵を依頼した。一族はその後彼の初めてのパトロンとなり、貴族の権限のある世界へと彼を広めていった。
17世紀の初頭から20年間は、カラヴァッジオの自然主義とカラッチのいとこの古典主義の学術的スタイルが敵対していた。各流派にはそれぞれの信者がいて、2人の作品を比較するような試みが行われていた。
ピエトロ・ダ・コルトーナが頭角を現し始めたのと同時期に、バルベリーニ教皇アヴァン8世がベルニーニを彫刻家、建築家としてを賞賛し、彼の作品はそれを舞台にして躍進していったことにより、コルトーナ、ベルニーニ両氏は共にローマの芸術を変え、真のバロック様式を創造するのに十分な力を持った。
ピエトロ・ダ・コルトーナの絵は、前向きな演劇性、活発な動き、豊かな色彩、筆使い、そして輝ける光を表現し、際立って美しい。
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